最高裁判所第一小法廷 昭和32年(あ)2177号 決定 1958年3月13日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人上西喜代治の上告趣意は、単なる法令違反、事実誤認の主張を出でないものであって刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、原判決が、京都市中央市民病院の薬剤科部長である被告人が同病院の薬品の購入につき要求伝票を作成する行為は、同病院事務規則による本来の職務行為ではないが、薬剤科に属する薬品の保管整理に関する本来の職務と密接な関係にある行為と解して差支えない旨及び被告人には値引払戻金を受領すべき職務権限がなく、被告人が交付を受けた各金員の趣旨は、被告人の職務に対する謝礼であって、既納薬品に対する値引払戻金というのは単なる口実にすぎない旨を判示したのは、正当である。)
よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫)